プール事件(前編)
「ミーンミンミンミンミン……」
アブラゼミの大合唱がなりひびき、
ギラギラとおひさまが照りつける。
これはボクがまだ小学4年生のころ、
なつやすみのある日に起こった事件のおはなし。
当時の小学校は、夏休みになるとプールを開放し
子どもたちはよくそこに集まってあそんだものだった。
今は事故のリスクが高いとかで、
廃止になった学校も多いらしい。ざんねんだなぁ。
さてさて、
そんな夏休みのある日
ボクとコウは、ふたり並んで自転車をこぎながら
いっしょにプールに向かった。
なつやすみのあいだ
くもんの教室に行くまでの昼の時間は、
ほとんどいつもふたりでプールに行って遊んでいた。
学校について、駐輪場に自転車をとめると
更衣室へとあるいて行った。
ピタピタの水着にきがえたボクは
「さきにいってるぞ!」
とコウを置いてプールへと飛びだしていった。
まきまきタオルをプールサイドにおいて、
たくさんの小学生で溢れかえっているプールの中へ飛びこんだ。
暑かった外から、つめたい水のなかへ
とってもきもちが良くて、友達と夢中になってあそんでいた。
すっかりコウのことを忘れていたことに気がつき、
ふとあたりを見渡すと、 ちょっと離れたところに、
きょろきょろしながら、ひとりでぽつんとコウが立っていた。
「おーい、いるんなら言えよー!」
そう言ってコウに近づいた次の瞬間、
事件が起こった。
(つづく)